丸信のワンタンメンが食べたくなって、とても久しぶりに荻窪へ。
最初に丸信を訪れたのはおそらく先代のご店主が調理場に立っていた頃です。
荻窪に住んでいた期間は短いのですが、いつも行列の春木屋あたりに比べて入りやすかったこともあり、この店のある四面道までよく足をはこびました。
先代はちょっと大坂志郎を思わせるようなキリッとした風貌。
その昔、水を運んできた店員がうっかり私のテーブルにコップごとひっくり返してしまい、服が濡れてしまったことがありました。
水ですからなんでもないのですが、帰り際に、ご店主が「お代は結構です」と。
その時はお言葉に甘えてしまいましたが、数年後、このご主人の姿が見えなくなってから、ちょっと水に濡れたくらいでタダ飯をいただいてしまったことを後悔したものです。
スープに強く魚介の出汁が使われているのですぐ記憶に定着する味。
でも近年の押し付けがましく個性を主張するラーメン店とはむしろ真逆で、昔ながらのシンプルな醤油ラーメンの枠から外れていない、絶妙な立ち位置を守ってくれています。
注文するのはいつもワンタンメンです。
添え物のようなワンタンではなく、麺とほぼ拮抗した量でたっぷりヒラヒラとした食感を楽しむことができます。
昔に比べるとチャーシューがグレードアップした感じ。
9月中旬現在、コロナ対策でカウンターでは1席、間隔を空けられて案内されました。
回転率が下がるので大変だろうと思います。
13時近くに店を出る頃には外に行列。
ラーメン激戦区でも人気は維持しているみたいです。
荻窪「丸信」と共に、時折食べたくなるワンタンメンがあります。
伊東の「福々亭」です。
伊東駅の近くにあって、こちらもなかなかの人気店ですが、平日は大行列している光景を見たことはなく、フラッと入れるので伊東の温泉帰りに時間があえば必ず立ち寄ります。
カウンターのみの店内。
おそらくご夫婦と見られる二人だけでお店をまわしています。
手荷物をカウンター席の後ろにおくように執拗に促されるほど狭く、一見修行僧を思わせるご店主が黙々と手を動かしています。
近年は「写真撮影お断り」と注意書きが掲示されましたが、変な緊張感がある店ではなく、むしろ温泉地らしいゆるさがどことなく漂い、それが魅力でもあります。
福々亭のワンタンメンは餡がしっかり詰まった雲呑に、キリッとした醤油と適度な油加減のスープがちょうどよく合って、風呂上りにも風呂前にもストンと腹に入ります。
ここもちゃんと仕事をしていますが、妙に頑張りすぎない味なので飽きることがありません。
どうもワンタンメンに取り憑かれてきたので、今度は四谷三丁目の「まるいち」まで久しぶりに行ってみようかな、と考えはじめています。