大量の源泉をふんだんに湯船へ提供。
夕食を削ぎ落とすなど、無駄なサービスを省いている分、安価に伊東らしい単純温泉を満喫できる宿として貴重な存在です。
3回ほどリピートしました。
伊東駅から南伊東方面にむかい、徒歩10数分。
だらだら歩くと20分くらいかかり、途中から住宅地に入るのでわかりにくいのですが、地図アプリがあれば迷うことはないと思われます。
丘陵に隣接していて、すぐ先には宿の中にミニケーブルカーがあることで有名な「陽気館」があります。
鉄筋コンクリート造りの中規模旅館で建物に風情はありません。
中には洋室風の部屋もありますが、基本は昭和テイストの畳敷。
典型的な伊豆の普及型温泉ホテルです。
しかし、風呂は侮れない規模と質を備えています。
昔の団体客を受け止めていた大浴場から、貸切形式の浴室が数種と多彩。
しかもどの浴槽も気前良く源泉掛け流しを達成。
湯量の豊富さでは東日本随一を誇る伊東温泉の底力を実感できる宿です。
3本の源泉から合計毎分約300リットルの湯が供給されています。
それぞれの源泉の温度差を利用して適温化を図っているため、加水・加温なし。
伊東らしいクセのない透明泉で、飽きがこない泉質です。
何より鮮度が高く、澄みきった湯をどの浴室でも楽しむことができます。
大浴場の内風呂は熱めと温め、2つのエリアに区切られ、10人程度一緒に入っても圧迫感を受けない規模。
内風呂に接続された大露天は豪快な石組みに和風の天井囲いがしつらえられて貫禄があります。
カップルの気分を盛り上げるスリリングな防空壕跡のトンネルに続く五右衛門風呂形式の浴室や、照明をかなり落とした寝風呂などユニークな貸切風呂が用意されています。
この宿で最も気に入っているのは建物の外、個別に建てられた貸切露天。
5,6人は入れる規模の浴槽にたっぷり適温の源泉がかけ流され、伊東市内の住宅地にありながら、外界と遮断された静けさが確保されています。
いずれの浴室も一泊の滞在時間中、いつでも入浴可能。
オフシーズンの平日ならほとんど他客に会うこともなく温泉三昧ということになります。
運営はビジネスホテル方式。
夕食はありません。
朝食は付けられますが、簡単なバイキングで伊東らしい食材の提供はなし。
その分、価格は低く抑えられていて、一人泊でも5千円台。
伊東の中心部と違い、宿の近くに飲食店が豊富にあるわけではないので夜食は適当に駅前のコンビニ等で仕込んでおく必要がありますが、温泉だけで十分満足感が得られるコスパの良い旅館です。
単独泊歓迎の姿勢にも好感が持てます。
伊東では「いづみ荘」や「アンジン」といったお気に入りの宿が次々星野リゾート化して割高になってしまいました。
旅館のクラスとしては全く異なりますが、伊東に関してはここ大東館のリーズナブルさに助けられています。