一軒の温泉宿というより、温泉集落といってもいい規模の施設です。
とても一泊で全部の浴室を制覇することはできません。
連泊してなんとかクリアしましたが、無理をせず好みの風呂に限定して湯巡りした方が楽しめると思います。
「龍洞」は、大きなくくりでみた水上温泉郷の最も奥深いエリア、湯ノ小屋温泉にあります。
公共交通機関を使う場合、JR水上駅から「湯の小屋」行きのローカルバスでアクセスすることができます。
本数が限られているので注意が必要ですが、これに乗ってしまえば一本で宿のすぐ近くまで到達します。
なお途中、大露天で有名な宝川温泉がありますからついでに立ち寄るというという手もあります。
ただ汪泉閣はバス停からはかなり離れていますから、予め電話で連絡し送迎を手配しておく必要があります。
余談でした。
温泉宿「龍洞」には呆れるくらいたくさん浴室があります。
数えるのも面倒という規模です。
宿のHPでは18の湯巡りスタンプラリーが案内されていますが、宿泊客専用の内風呂などもあるので、結局20くらいあるのではないでしょうか。
事前情報としてこの規模はつかんでいましたから、最初に宿泊した時、連泊による全制覇を画策。
しかし、無謀、でした。
一応、全部入ったはずですが、中にはほとんど一瞬しか入ることができなかった浴室があります。
無理をしてバタバタ湯巡りをするより、これはと思った浴室にゆったり入る方が絶対、賢いと思います。
2回目の時はこの教訓をいかし、ピンポイントであらかじめ浴室を選びました。
しかし好みの浴室に限定して一通りまわるだけでも湯疲れ必至の展開となります。
名前に「龍」のついた浴室は全て貸切です。前述の通り18個。
かなり規模に違いがありますが、どれも当然1人で貸し切ることができます。
浴室棟の入り口に各浴室の名前がついた札があり、これを持って向かいます。
札が無いということは先客がいるということになりますが、浴室がたくさんあるので全部貸し切られるということはまず無いと思います。
人気が高い浴室は「天龍」「川龍」「音龍」の3つです。
いずれも1人で独占するには贅沢すぎる規模の露天。
規模の小さい旅館ならこのどれか一つでもあれば立派に「大露天風呂」と名付けて営業できてしまうレベルでしょう。
他の浴室も小さいながらにそれぞれ趣向を変えていて、3つの人気風呂に先客がいても、困ることはありません。
その他、宿泊棟の中にも内風呂があり、別館的なお寺のような建物には男女別の大浴場と露天があります。
もう、わけがわからないほどの規模です。
温泉分析表を記録してこなかったので詳しい成分はわかりませんが、ほとんどクセの無い無色透明の高温泉。
非常に澄み切った清々しい湯で、貸切専用ということもあり、どの浴槽も鮮度は全く問題ありません。
湯温も適温が維持されています。
もちろん全て源泉掛け流し。
総湯量はどのくらいになるのか、見当もつきません。
温泉はどれも同じなので、あとは浴室の趣向次第でしょう。
個人的に最も気に入っているのは「音龍」です。
川沿いにある岩造りの半露天で、文字通り、眼前を流れる川の響きを聞きながらの湯浴みが満喫できます。
それと、テラス風呂の「飛龍」。
小ぶりですが、シンプルな造りが魅力です。
その他、最初に泊まった時はシャボン玉が自動的に飛び交うシステムがついた浴室にも入りましたが、好みでは無いので2回目の時は確認していません。
食事は手堅い献立の会席です。
個室の食事処で供されます。
先付け、お造り、揚げ物、焼き物、蒸し物と一通り、一皿一皿運ばれてきます。
「台の物」には宿泊プランにもよると思いますが上州和牛の鉄板焼き。
秘湯宿にしてはとても豪勢です。
普通の味ですが湯巡り疲れの腹なら十分、平らげられる量。きびきびしたサービスも好感がもてます。
この宿の楽しみ方は、「欲を出さない」ということにつきます。
たくさんある浴室を全て周りたくなる欲求をどう抑えこむか。
コツとしては3つの人気露天をコアに廻り、空いていれば入る。
ダブりもよしとする。
このくらい余裕を持っておかないと、焦っていろいろめぐりすぎ、結局忙しくなるだけです。
宿が良かれと思って用意している「湯巡りスタンプラリー」の罠に陥ってしまうと湯疲れで目が回ってしまいます。
平日1人泊で2万円半ばくらいという価格設定です。
日帰り客を夕方まで受け入れているので土日祝日は避けた方が良いと思います。
なかなか人気の露天が空きません。
それと結構な秘湯なので、野生動物に注意です。
一度、早朝風呂入浴中に猿が闖入。
とても歯が立たたなさそうな巨大猿。
ひっかかれたら大怪我です。
雄叫びを上げながら押し入ってきました。
貸切だから助けもよべず万事休すと思いましたが、じっと風呂の中で身をすくめていたら立ち去ってくれました。
油断禁物ですが野趣という点では満点ともいえそうです。