国立工芸館裏庭の「果樹園」|橋本真之

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金沢に移転した東京国立近代美術館工芸館、通称、国立工芸館。

先日訪れた時、予約していた時間よりも早く着いてしまったので周囲を散策してみました。
幸いにも工芸館裏手にはまだ鮮やかな紅葉が残っていました。

そこで思わず、あれっ、と目を疑う光景が。
橋本真之による「果樹園-果実の中の木漏れ陽、木漏れ陽の中の果実」が置かれていたのです。
竹橋にこの美術館があった頃は正面玄関の横に置かれていた印象的なオブジェです。

 

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なんと移転後、裏庭に追いやられてしまったとは。
かなり現代アート寄りの作品で、竹橋に置かれていた頃も、レンガ造りの旧近衛師団司令部の建物と必ずしもしっくりきていたわけではありません。
しかし、私はこのややグロテスクな形状の作品が好きで、近美が「モダン」ということを標榜した美術館である以上、こうした「衝突」も相応しい光景と感じていました。

それが、金沢では裏庭にひっそりと隠されるように置かれってしまっている。
これはちょっとひどい扱いではないのか、と感じたのです。

やや寂しい気分になりながら国立工芸館の中に入りました。

しかし、2階展示室に向かう階段の途中で、この措置の意味が突然判明したのです。

階段からは裏庭をのぞむ窓が見えます。
窓の外、まるでその窓を額縁としたように、橋本真之の「果樹園」が姿をあらわします。
そういうことだったのか、と一気に視界が開ける気分でした。
なかなかにお洒落な配置だと思います。

 

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竹橋にあった頃の橋本真之「果樹園-果実の中の木漏れ陽、木漏れ陽の中の果実」

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