村野藤吾展 槇文彦展 

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M meets M

村野藤吾展 (村野藤吾建築展実行委員会)
 ■BankART KAIKO
槇文彦+槇総合計画事務所〜人・建築・都市 槇文彦展 (槇文彦展開催実行委員会)
 ■BankART Temporary

 ■2020年10月30日〜12月27日

 

企画の冴え、という点でいえば、これほど見事な展覧会もありません。

 

今年6月に開所した新しい横浜市庁舎のデザイン監修者、槇文彦
それまで使われていた旧市庁舎を設計した村野藤吾

二人の大建築家作品展を、BankARTが擁する横浜北仲通地区にある二つの近接した会場で同時開催するというアイデア
BankART KAIKOは旧帝蚕倉庫を、BankART Temporaryは旧第一銀行横浜支店(後に横浜銀行本店別館)をリニュアールした建物。新旧の建築家を特集する施設としてとても相応しい、クラシカルな器。
見事な企画展です。

 

タイトルにあるように、二人ともMがイニシャルですが、建築家としての人生、作風は大きく違います。

在野の巨人・村野藤吾に対して、丹下健三研究室出身でいくつもの公共建築を手がけた槇文彦はどちらかといえば、「公」のイメージが強い人。

村野の旧横浜市庁舎は1959年の竣工。
方形のデザインが主体の軽やかで温かみのある役所建築。迫力や豪華さは感じられません。モダニズム全盛期の作品としては市民が接したときの親しみやすさが優先された庁舎というイメージ。

他方、槇による新市庁舎は32階建ての高層建築。スタイリッシュな主棟に、見ようによってはお城の櫓のような低層建築が付随。横浜らしく開放的な印象を受けます。

 

槇の建築には洗練されたデザインセンスと、常に周囲の環境との関係や建物の使われ方を熟考した計画性が同居しています。
すでに90歳を超え、建設されてきた彼の作品自体、歴史性を帯びはじめていますが、代官山のヒルサイドテラスのように、少しも古びた感じを受けない。
建築後まもないのにすでに古典の域に達したようなNYの4WTCに代表されるソフィストケートされた作風。

村野は作風をかなり変え続けた人で、モダニズムとくんずほぐれつしながら、ときには大胆に和様を取り入れるなど、独自の存在感ある建築を全国各地に生み出した。丹下健三とは正反対ともいえる建築家です。その意味では丹下の弟子筋にあたる槇とは対抗関係にあるといえなくもありません。この展覧会を泉下の村野はどう感じているのか、ちょっと複雑な気分にもなります。

しかし、市庁舎の役割、市民を第一とする使命を考えたとき、新旧両建築家の目指したところは、語法はまったく違うものの、横浜においては、その目的を見事に達成した点で共通していると感じます。

 

同時開催ですが、開催主体は両展で違っています。

村野展では主に京都工芸繊維大学が手がけたとても見事な模型を使い、作品の軌跡を丁寧にたどると同時に、旧興銀で実際使われていた村野デザインの椅子など、実物展示も組み込まれています。

一方、槇展では槇事務所による模型と写真によって、金沢シーサイドタウンなど、大規模住宅開発も含めた多彩な業績を紹介。海外作品中心の映像も流されています。

共にそれぞれの実行委員会が工夫を凝らした展示。
見応えがありました。

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