下村良之介「疎開跡」(京都国立近代美術館)

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現在、京都国立近代美術館で開催されているコレクション展(2020年度第4回 〜3月7日)には「描かれた建物」と題されたコーナーが設けられています。同時開催されている企画展「分離派建築会100年」と連動したテーマでの特集。

 

明治中期の田村宗立「京都駆黴院図」から昭和20年代末、三輪晁勢の「家」まで20数点。

中でも特に印象的だったのが、下村良之介による「疎開跡」。
1949(昭和24)年、第2回パンリアル展に出品された画家初期の作品。

おそらく建物疎開が実施された京都市内の様子。
キュビスムの手法を取り入れて描かれた蔵や土管。構成は一見賑やかですが、観ていると静かに寂寞さが漂う一枚です。

下村良之介はこの作品を描く前年、1948(昭和23)年、結婚し京都市立上京中学校の教諭として左京区吉田本町に住みはじめます。25歳。

この「疎開跡」の直前に描かれた、記念すべき第1回パンリアル展出品作「祭」をみると、対照的に荒々しいまでの奔放な生命力が示されています。
代表作「鳥不動」にみられる神話的な静かさと秘められたマグマのような情念の混合。「祭」と「疎開跡」は後に混じり合うこの画家の「動と静」の二面要素がそれぞれ分解してあらわされているようにも感じられます。

 

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下村良之介 「疎開跡」