マイムーナ・ゲレージ (KYOTOGRAPHIE)

 

マイムーナ・ゲレージ Maïmouna Guerresi Rûh|Spirito
 ■2022年4月9日〜5月8日
 ■嶋臺ギャラリー

 

不思議に鮮烈な「葉っぱ+人」のイメージ。

ギイ・ブルダンの赤いマニキュア写真等と共に今年のKYOTOGRAPHIEを代表するキービジュアルの一つがマイムーナ・ゲレージの作品です。

 

面白そうなので東洞院御池の嶋臺ギャラリーで開催されている彼女の特集展を覗いてみました。

 

www.kyotographie.jp

 

色とりどりの鮮やかな衣装を纏った人物が巨大な植物の葉を持って直立しています。

一見してその葉っぱには何やら神聖性のようなものが仮託されているように感じるのですが、次第に、これと共通したあるイメージが想起されてきました。

 

「生け花」、立花です。

それも最近のスタイルではなく、古式を残したシンプルに鋭い生け方のもの。

仁和寺等に伝わっているような昔のお手本図像にみられるある種の潔さを感じさせる立花の姿と、垂直軸を強調したゲレージによる構図が被ってきました。

 

もちろんスーフィー派に改宗しイスラームを篤く信仰しているというゲレージが、仏教に根を持つ立花の影響を受けているわけはないのですが、一体化したかのような植物と人の構図が生み出す不思議に洗練されたその写真からは、室町時代、草創期の立花が持っていたであろう純度の高い宗教性のようなものとの共通点があるような気がします。

 

 

自身のバイオグラフィーの中でゲレージは生年を明らかにしていませんが、作品の発表は1980年代から行っているベテランアーティスト。
イタリアン=セネガリーズ(共催しているイタリア文化会館-大阪では「イタリア系セネガル人」と「セネガル系イタリア人」、両方表示)。

 

近年は中国や韓国でも作品が紹介されています。
日本でのまとまった個展の記録は彼女自身のホームページ上、確認できないので、今回のKYOTOGRAPHIEでの展示が本格的なゲレージ特集としては最初なのかもしれません。

 

計算され尽くした構図と鮮烈な色彩配置が生み出すスタイリッシュさがまず特徴として目に飛び込んでくる写真群。

商業写真としても十分使えそうなくらいインパクトがあります。

しかし、不思議とどの写真からも一種の神聖さのような要素が同時に伝わってくるので、特定の商品ポスターに使用したシーンを想像しても、何となくしっくりときません。

洗練された図像の中に太古的な毅然とした精神性が滲んでいます。

 

 

決して広いとはいえない嶋臺ギャラリー。

でも、変化に富んだ町屋空間を活かした山尾エリの展示演出は一定の効果を上げていて、ゲレージの図像と背景がよく共鳴していたように感じました。

なお、奥の座敷では映像作家でもあるゲレージのヴィデオアート作品が上映されています。

 

本展を契機として日本での紹介機会が増えると嬉しいと思えるようなアーティストでした。

 

 

京都BAL前のマイムーナ・ゲレージ