2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「和巧絶佳」展にみる同時代性

開館25周年記念「和巧絶佳展 - 令和時代の超工芸」 ■2021年9月18日〜12月5日■アサヒビール大山崎山荘美術館 昨年7月から9月にかけてパナソニック汐留美術館で開催された「和巧絶佳」展が、みやざきアートセンターでの展示を経て、京都・大山崎山荘美術館に巡…

狩野探幽と「種村肩衝」のミステリー

現在、京都国立博物館で開催されている「畠山記念館の名品」展(2021年10月9日〜12月5日)に、面白い逸話を持った茶入が展示されています。 唐物肩衝茶入「種村肩衝」。 南宋、12〜3世紀の中国で焼かれたといわれる一口です。 近江六角氏の家臣、種村刑部少輔…

曼殊院 消えた狩野探幽と受け継がれたモダン

庭園と茶室八窓軒が特に有名な曼殊院門跡ですが、建物の中には結構近世絵画も残されていて、間近に鑑賞することができます。 庫裡から入ってすぐの大玄関には狩野永徳の作と伝わる竹虎図や岸駒の孔雀など、襖絵が剥き出しのまま展示されています。 共に傷み…

狩野探幽の孔雀|二条城障壁画展示収蔵館

二条城大手門から入り、一般的な順路とは逆に右手へ折れて進むと、休憩所に隣接して障壁画展示収蔵館がその長細い白壁の姿を現します。 ここに入るには入城料と別にちょっと追加料金が必要になりますが、かつて御殿を飾っていた狩野派一門による障壁画のオリ…

「近代」が取れた滋賀県立美術館リニューアル

VOICE-OVERリニューアル記念展 ボイスオーバー 回って遊ぶ声 ■2021年9月18日〜11月14日■滋賀県立美術館 今年6月、4年間もの休館を経てようやくリニューアルオープンした滋賀県立美術館。 館蔵品セレクションによるいわば拡大版常設展が開催されています。 リ…

本多錦吉郎と笠木次郎吉|発見された日本の風景展

発見された日本の風景 美しかりし明治への旅 ■2021年9月7日〜10月31日■京都国立近代美術館 不思議な展覧会でした。 286点に及ぶ明治期の洋画が、京近美の3階に設営された迷路のような展示スペースに延々と飾られています。 しかもこの夥しい作品群は全て一人…

木島櫻谷旧邸

現在京都市京セラ美術館で開催されている「モダン建築の京都」展(2021年9月25日〜12月26日)。 博物館や庁舎、大学といった大規模公共建築に加えて、個人住宅もいくつか取り上げられています。 その中のひとつ、日本画家木島櫻谷の旧邸が10月23日から11月28日…

木島櫻谷 四季の金屏風

木島櫻谷 四季の金屏風 - 京都画壇とともに- ■2021年9月11日〜10月24日■泉屋博古館 2013年、2017年に続く、泉屋博古館では3回目となる木島櫻谷特集。 動物画をテーマとした前回に対し、今回は巨大な屏風絵を中心に、櫻谷だけではなく、彼を取り巻いた京都画…

詩仙堂の小早川秋聲

先日京都文化博物館で鑑賞した小早川秋聲展。 会場の一角で、秋聲の画業を紹介したBSフジ制作によるドキュメンタリー番組の映像が流されていました。 番組の中では、意外な場所に秋聲の絵が飾られていることが紹介されています。 濱登久の店内に作品が展示さ…

小早川秋聲展|京都文化博物館

小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌(レクイエム) ■2021年8月7日〜9月26日■京都文化博物館 www.bunpaku.or.jp 平塚市美術館の現館長、草薙奈津子によれば、アジア太平洋戦争に最も早く従軍した日本画家が小早川秋聲なのだそうです(中公新書『日本画の歴史 現代篇…

初めての「ゴッホ展」とルドン、そしてトーロップ

ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント ■2021年9月18日〜12月12日■東京都美術館 とにかく混雑するので敬遠してきた数々の「ゴッホ展」。 今回はコロナの影響で事前予約制となったため意を決して出かけてみました。 「ゴッホ展」と名がついた展覧会に入…

「若冲と近世絵画」展|相国寺承天閣美術館

若冲と近世絵画展 ■(前期)2021年5月12日〜7月25日 (後期)8月1日〜10月24日■相国寺承天閣美術館 前期と後期、たっぷり半年をかけての相国寺近世絵画特集です。 伊藤若冲が主軸ですが、原在中、円山応挙等、見応えのある優品が取り揃えられています。 なお、前…

細見良の美意識

細見古香庵生誕120年記念「美の境地」 ■2021年8月24日〜10月17日■細見美術館 近年の細見美術館は、実業家細見家の実質的な二代目である細見實が好んだ、琳派・若冲など、江戸美術を中心とした企画が目立っていたように思います。 しかし、この美術館の礎とな…

「モダン建築の京都」展 

京都市京セラ美術館開館1周年記念「モダン建築の京都」 ■2021年9月25日〜12月26日■京都市京セラ美術館 東山キューブ 建築をテーマとした展覧会につきまとう決定的なジレンマは、絵画などと違い、本来主役となるべき建築作品そのものを実物展示することができ…