サヴァールの「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」(ALIA VOX)

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オルグ・フリードリヒ・ヘンデル 「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」
 ル・コンセール・デ・ナシオン
 指揮: ジョルディ・サヴァール
 AV SA 9860 (ALIA VOX) SACDハイブリッド

 

これほど壮麗で官能的な「水上」も「花火」もないと思います。

元はアストレ・レーベルからリリースされていた録音。
1993年3月、スペイン、カタルーニャのカルドナ城(Chateau de Cardona)でのセッションですが、このロケーションが素晴らしい音響効果を生んでいます。

現在では宿泊もできるというカルドナ城。建てられたのは中世。9世紀頃の要塞的な施設。様式的には一応ロマネスクとなるのでしょうが、ほとんど飾り気がない土の城のようにみえます。
この城の中にサン・ビセンス教会があり、ネットの画像でみると異様に天井の高い様子がわかります。当ディスクのクレジットに記載はありませんが、録音が行われたのはおそらくこの教会でしょう。

とても豊な残響が捉えられています。風呂屋の響きのようになる一歩手前で踏みとどまり、各楽器声部がもつ輪郭の明瞭さと、豊満とも言える響きの溶け合いが奇跡的に両立されています。

録音にはピエール・ヴェラニー(Pierre Verany)が監修役として名を連ねています。
自身のレーベルをも持つ名エンジニアにしてプロデューサー。
濃い音づくりというか、音響に独特の存在感を持たせることができる人だと思います。

SACD化は2008年。サヴァール自身のレーベル、アリア・ヴォックスに移管されて発売されました。
アストレ盤も優秀でしたが、響きの余裕感のようなものがSACD化によってさらに出ている感じ。マルチ再生も可能。私のオーディオ環境では無理なのでこれはどうなっているかわかりません。想像するにソースの響きが部屋全体を覆い尽くすような目眩くサウンドが体験できるかもしれません。ただ、マルチではなくても十分すぎるほど美麗な響きが眼前に広がるので満足はしています。

 

演奏は既に定評があるもの。特級の出来栄えです。
90年代当時の英国やオランダの古楽アンサンブルよりも色彩感が抜群にあり、全体に柔軟性と生命感を尊んだ演奏で、これらの曲が持つ祝祭的な持ち味をも表して万全。
甘美な弦群と瑞々しく朗々と冴え渡る管楽器たちの競演。大小の太鼓による硬い響きがくっきりとアクセントを置いていきます。チェンバロにピエール・アンタイの名が。いずれも名手揃いだった当時のコンセール・デ・ナシオンの豪華なパフォーマンスが堪能できる一枚だと思います。

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Haendel: Water Music / Music for the Royal Fireworks

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  • 発売日: 2008/07/08
  • メディア: CD