2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アーティゾン美術館開館1周年

STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示 ■2021年2月13日〜5月9日■アーティゾン美術館 開館から1年。 アーティゾン美術館が最新収蔵品を含め、全館を使ってたっぷりコレクションを披露する超拡大版常設展です。 いつもは企画展として使用される2つ…

環翠楼の異界大浴場|神奈川県 箱根・塔ノ沢温泉

国道1号沿いにそびえる木造の楼閣。 福住楼と共に塔ノ沢の風格を決定付けている温泉宿です。 いかにもな老舗ですが、格式ばったところはなく、オフシーズンの平日であれば一人泊も歓迎される雰囲気。 GoToトラベルで歪んだ料金の反動からか、結構安めの料金…

木村得三郎 弥栄会館

祇園の弥栄会館は1936(昭和11)年、木村得三郎(1890-1958)の設計。 木村はこの10年ほど前、1927(昭和2)年、先斗町歌舞練場の設計も担当しています。 戦前の大林組で活躍した「劇場建築」の名手といわれる建築家。 最も有名な現存作品は大阪松竹座のファサード…

八木明「青白磁可変輪花香炉」

先日(2021年2月7日)まで京都文化博物館で開催されていた「創立75周年記念 京都工芸美術作家協会展 ―煌・KIRAMEKI―」。 陶芸に数々の優品がみられました。 八木明は1955(昭和30)年の生まれですから今年60代後半に入る京都在住の陶芸家。 京都工芸美術作家協会…

蓮華王院と伏見稲荷大社 異形のミニニマル芸術

スティーヴ・ライヒに代表れさるミニマル・ミュージックは単純化された音型の反復が生み出す不思議な中毒性を持っています。 延々と繰り返される音のパターンは装飾性やストーリー性が極力排除されることで独特の美観を聴き手に与える効果を生み出す。 「反…

信田洋「蒸発用鉄瓶」

信田洋(のぶた よう)は1902(明治35)年、日本橋に生まれた彫金家。 1990(平成2)年に亡くなっています。「蒸発用鉄瓶」は1934(昭和9)年の帝展で特選となったこの工芸家、代表作の一つです。 1962(昭和37)年、翌年の京都国立近代美術館開館にあわせて東京から移…

高台寺茶室群と分離派建築会

現在、京都国立近代美術館で開催されている「分離派建築会100年」展(〜2021年3月7日)。 www.momak.go.jp 堀口捨己による「紫烟荘」が回顧されています。 1926(大正15)年、個人宅として建設されました。 わずか2年後に焼失してしまいますが、その独特の造形が…

泉涌寺 水屋形の美

泉涌寺仏殿の東隣に「泉涌寺水屋形」(みずやかた)があります。 とても小さい建物。 1668(寛文8)年、横に建つ巨大な仏殿の再建と同時期に建てられたものとされています。 泉涌寺はかつて「仙遊寺」と称されていましたが、1226(嘉禄2)年、俊芿(しゅんじょう)に…

伊藤柏台「夜の六角堂」と昼の六角堂

現在、京都国立近代美術館のコレクション展(〜2021年3月7日)で特集されている「描かれた建物」というミニ企画。 田村宗立から下村良之介まで、多彩な「建物」に関する絵画が展示されています。 伊藤柏台(はくだい)は1896(明治29)年、京都に生まれた画家。 甲…

國府理の遺言「水中エンジン」

京都市京セラ美術館で開催されている「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019)」展(〜4月11日)。 東山キューブの中に数多の作品が詰め込まれ、さらに各作品同志が剥き出しで隣り合っていたりしますから、見ようによってはまさに瓦礫の山とも感じられま…

ストゥールゴールズ ショスタコーヴィチ交響曲第11番

Shostakovich 1905 -Sacd- アーティスト:BBC Philharmonic 発売日: 2020/04/17 メディア: CD ドミトリー・ショスタコーヴィチ: 交響曲第11番 ト短調 作品103 「1905年」 BBCフィルハーモニック指揮: ヨン・ストゥールゴールズ (Chandos CHSA5278 2020年リリ…

京都国立博物館の「日本書紀」(岩崎本と吉田本) 

日本書紀成立1300年記念 特集展示 国宝「日本書紀」と東アジアの古典籍 ■2021年2月4日〜28日■京都国立博物館 720(養老4)年に編纂されたとされる日本書紀。 昨年2020(令和2)年はこの文書成立から1300年の記念イヤーだったことになります。京博は日本書紀の写…

「天の中庭」の清水九兵衞

京都市京セラ美術館の南回廊1階は、主に、館蔵品の中から選ばれた作品を「コレクション展」として季節毎に披露するエリア。 企画展の開催を中心とした北回廊とほぼ相似形をなして向き合っています。 北回廊の中庭は「光の広間」と名付けられガラスの天井が張…

石黒宗麿が「砕いた」陶片|京都国立近代美術館

エデュケーショナル・スタディズ02:中村裕太 ツボ_ノ_ナカ_ハ_ナンダロナ? ■2020年12月24日〜2021年3月7日■京都国立近代美術館 食器などの陶器は日常生活の中に溶け込みすぎていて、意識的にとらえない限り、空気と同じような存在です。 しかし、突然その…

清水卯一「青瓷大鉢」

京都国立近代美術館で開催されている「2020年度第4回コレクション展」(2021年3月7日まで)。清水卯一の「青瓷大鉢」が展示されています。 1973(昭和48)年の製作。 第2回日本陶芸展に出品された後、翌1974(昭和49)年度、早速に京都国立近代美術館が買い上げた…

木子清敬・伊東忠太・佐々木岩次郎 平安神宮

平安神宮神門の入口西側に、京都市が立てたこの神社の由緒書があります。 以下に抜粋引用してみます。"平安京奠都の延暦十三年(794)より千百年にあたる明治二十八年(1895)、桓武天皇を祭神として創建された。紀元二千六百年にあたる昭和十五年(1940)には、平…

慶野ことり「割れ野のはな」

創立75周年を記念して2月7日まで京都文化博物館で開催されていた「京都工芸美術作家協会展」。 大家から中堅若手まで実に幅広い作品が展示され、見応えのある記念展でした。 慶野ことりは工芸美術創工会に所属する陶芸家。 詳しい来歴はわかりませんが、1996…

京都と大火展(大谷大学)と大報恩寺(千本釈迦堂)

北大路の大谷大学博物館で「京都と大火」と題された展覧会が開催されています(2021年1月27日〜2月26日 無料・事前予約制)。 「伴大納言絵詞」で有名な応天門炎上事件から幕末元治の大火まで、京都を襲った炎のカタストロフ史を、主に江戸時代の文書などを手…

現代音楽を「支持した階層」|沼野雄司『現代音楽史』

現代音楽史-闘争しつづける芸術のゆくえ (中公新書, 2630) 作者:沼野 雄司 発売日: 2021/01/18 メディア: 新書 ■沼野雄司著『現代音楽史 闘争しつづける芸術のゆくえ』(中公新書) この「現代音楽史」がとてもわかりやすく秀逸と思えるのは、音楽の「創り手」…

肥後亮祐「Null Island」にみる虚実空間

「Kyoto Art for Tomorrow 2021 京都府新鋭選抜展」(2021年1月23日〜2月7日 京都文化博物館)で展示されている作品、肥後亮祐の「Null Island」。 この企画展で、特に興味を惹かれた作品です。 この星では、かなり以前から「地点」が微細に数値化されていて、…

高嶺格「118の除夜の鐘 」

(ご注意: この作品は事前情報を得てから体験すると、ネタバレというレベルを超えて、作品との関係が変わってしまう可能性があります。以下にはかなり事前情報が含まれます。というこのコメント自体がすでに事前情報の一種かもしれませんね。ごめんなさい。) …

上野有竹と日中絵画の名品

仏教美術研究上野記念財団設立50周年記念 特別企画 「新聞人のまなざし 上野有竹と日中絵画の名品」 ■2021年2月2日〜3月7日 ■京都国立博物館 朝日新聞社の実質的な基礎を村山龍平と共に固めた上野理一(有竹)。その収集品を回顧する特別企画。平成知新館の2階…

相国寺・金閣・銀閣 宝物展 

相国寺・金閣・銀閣 宝物展 梅の余薫/相国寺の歴史と秘宝 ■2021年1月31日〜4月18日■相国寺承天閣美術館 歴史教科書でお馴染みの足利義満像。 威厳というよりなんとなく愛嬌が漂う、垂れ目が印象的なこの肖像画が今回の企画展ポスターに採用されています。 2…