2024-01-01から1年間の記事一覧

安宅コレクションの高麗青磁|大阪市立東洋陶磁美術館

リニューアルオープン記念特別展シン・東洋陶磁ーMOCOコレクション ■2024年4月12日~9月29日■大阪市立東洋陶磁美術館 2022年4月から改修工事のため長期休館していた大阪市立東洋陶磁美術館が2年ぶりに再開しました。当初の予定では2023年の秋頃にリニューア…

「関心領域」と「アウステルリッツ」

ハピネットファントム・スタジオの配給でジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer 1965-)監督による話題作「関心領域」(The Zone of Interest 2023)の公開が5月24日から始まっています。 さっそく近所のシネコンで鑑賞してみました。 happinet-phantom.com …

狩野探幽 二条城「大広間」一の間障壁画

令和6年度春期原画公開二条離宮の大広間〜〈大広間〉一の間~ ■2024年4月25日〜6月23日■二条城障壁画展示収蔵館 二条城二の丸御殿の中でもっとも有名な場所が「大広間」です。大政奉還が布告された場所として、御殿内ではお人形さんたちによって当時の様子…

紫式部日記絵詞|藤田美術館の「紫」特集

藤田美術館では現在「紫」をキーワードとした展示コーナーが設けられています(2024年5月1日〜7月31日)。 色彩としての紫色にちなんだ作品も少しは披露されていますけれど、今年に限っていえば当然「紫式部」にかけられた特集ということになるのでしょう。 fu…

虎屋京都ギャラリーで観る河鍋暁斎

虎屋所蔵品展「水のいきもの」 ■2024年4月20日~5月19日■虎屋 京都ギャラリー 烏丸一条の虎屋ギャラリーでこの時季らしい画題の日本画や工芸を取り揃えた企画展が開かれています(無料)。 涼しげな土田麦僊の金魚図をはじめ、山元春挙による鯉図など瀟洒な京…

小川晴暘と光三の眼|飛鳥園100年展

特別展 小川晴暘と飛鳥園 100年の旅 ■2024年4月20日~6月23日■奈良県立美術館 奈良国立博物館のすぐ近所に仏像写真を中心に扱う写真館「飛鳥園」があります。 文化財写真家のパイオニア、小川晴暘(1894-1960)がここを創業した1922(大正11)年から2022年で100…

興福寺五重塔の修復工事と廃仏毀釈「伝承」

昨年2023年の夏頃から奈良興福寺にそびえる国宝五重塔の本格的な修復工事が始まっています。2024年5月中旬現在、いよいよ工事用の足場が初重あたりを覆い隠し、塔の高さをはるかに上回る巨大なクレーンが姿を現していました。 www.kohfukuji.com 西金堂跡付…

源氏物語絵巻が主役ではない徳川美術館展

徳川美術館展 尾張徳川家の至宝 ■2024年4月27日〜6月23日■あべのハルカス美術館 アートワークに「源氏物語絵巻」の「宿木三」が大きく使われていますから、徳川美術館が誇るこの国宝絵巻がたっぷり展観される企画展と勘違いしてしまう方がいらっしゃるかもし…

加賀正太郎「蘭花譜」展|大山崎山荘美術館

加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念蘭花譜と大山崎山荘ー大大阪時代を生きた男の情熱 ■2024年3月9日〜5月12日■アサヒグループ大山崎山荘美術館 大山崎山荘を建てた実業家、加賀正太郎(1888-1954)の足跡をたどりつつ彼が制作した植物図鑑「蘭花…

京都新聞社地下のヴィヴィアン・サッセン

ヴィヴィアン・サッセンPHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990–2023 ■2024年4月13日〜5月11日(KYOTOGRAPHIE 2024)■京都新聞ビル地下1階(注:本展は5月11日までですが他会場のKYOTOGRAPHIEは5月12日まで開催されています) 13ヶ所に及ぶ多彩な会場で繰…

松尾大社展|京都文化博物館

松尾大社展 みやこの西の守護神(まもりがみ) ■2024年4月27日〜6月23日■京都文化博物館 古文書の類が非常に充実している展覧会です。史料マニアの方にはたまらない企画でしょう。 美術方面の展示はさほど多くはありませんが、松尾大社のイメージに奥行きを与…

ブランクーシ回顧展|アーティゾン美術館

ブランクーシ 本質を象る ■2024年3月30日〜7月7日■アーティゾン美術館 日本でコンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brancusi 1876-1957)を本格的に回顧する企画は意外にも今回が初めてなのだそうです。 初期作品から代表作、ブランクーシ自身の撮影に…

彼女たちの舞台|ジャック・リヴェット

マーメイドフィルムとコピアポア・フィルムの配給でジャック・リヴェット(Jacques Rivette 1928-2016)監督による3作品のデジタルリマスター版が各地のミニシアターで上映されています。 「彼女たちの舞台」(La bande des quatre 1988)を観てみました。かなり…

白髪一雄生誕100年特別展示|兵庫県立美術館

白髪一雄生誕百年特別展示ーコレクションからザ・ベリー・ベスト・オブ・白髪一雄ー ■2024年4月25日〜7月28日■兵庫県立美術館 兵庫県美は白髪一雄(1924-2008)の作品を87点所蔵しているそうです。彼が今年生誕100年(お誕生日は8月12日)を迎えたことを記念しコ…

フェルナン・レジェ「バレエ・メカニック」|キュビスム展

現在、京都市京セラ美術館で開催されている「キュビスム展 」(2024年3月20日〜7月7日)では、会場の出口近くに映像上映コーナーが設けられています。 美術館内の壁面に映し出されている作品は「バレエ・メカニック」(Le Ballet mécanique 1923-24)。フェルナ…

カラヤンのオネゲル交響曲第2番&「典礼風」SACD化

アルテュール・オネゲル:交響曲第2番、第3番「典礼風」 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン (ユニバーサル・ミュージック UCGG-9229) 1969年に録音されたカラヤン&BPOによるオネゲルの名演がSACDシングルレイヤー盤と…

川田喜久治回顧展|KYOTOGRAPHIE

川田喜久治見えない地図 ■2024年4月13日〜5月12日(KYOTOGRAPHIE 2024)■京都市京セラ美術館(本館南回廊2階) 村上隆展とキュビスム展というブロックバスター的企画に加え、4月中旬からは「ジブリと金曜ロードショー」展までもが始まってしまった京都市美術館。…

中平卓馬展図録の「重さ」

先日まで東京国立近代美術館で開催されていた「中平卓馬 火|氾濫」展(2024年2月6日〜4月7日)の図録が自宅に届きました。先月の鑑賞時に予約していたものです。 到着した日は4月の半ばくらいだったでしょうか。展覧会自体が終わってから10日以上経過していま…

ピエール・スーラージュと森田子龍|兵庫県立美術館

スーラージュと森田子龍■2024年3月16日~5月19日■兵庫県立美術館 現代フランス抽象画と前衛書におけるとても高名な巨匠二人のコラボレーション展ですが、集客性の面ではかなり難しい企画ではないかとみていました。 予想通り兵庫県美内はとても閑散(平日)と…

潮田登久子の「冷蔵庫」とジェームス・モリソンの「寝室」

潮田登久子冷蔵庫+マイハズバンド ■京都市京セラ美術館本館南回廊2階 www.kyotographie.jp ジェームス・モリソン子どもたちの眠る場所 ■京都芸術センター■2024年4月13日〜5月12日(KYOTOGRAPHIE 2024) www.kyotographie.jp 冷蔵庫も寝室も生活に密着した極め…

安祥寺五智如来坐像の美|奈良国立博物館「空海」展

生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI-密教のルーツとマンダラ世界」 ■2024年4月13日~6月9日■奈良国立博物館 前期(〜5月12日)と後期(5月14日〜)合わせて115件におよぶ出陳品の内、国宝と重要文化財が87件を占めるという豪華絢爛な弘法大師生誕記念展です。 大…

ティエリー・アルドゥアンと緒方慎一郎|KYOTOGRAPHIE

ティエリー・アルドゥアン種子は語る ■2024年4月13日〜5月12日 (KYOTOGRAPHIE 2024)■二条城 二の丸御殿 台所・御清所 たくさんの外国人観光客に加え、そろそろ修学旅行の生徒たちも混じりはじめた二条城ですが、遠侍の北側に構えられた「御清所・台所」(通常…

狩野古信が模写した「山水長巻」|京博「雪舟伝説」展

特別展 雪舟伝説ー「画聖(カリスマ)」の誕生ー ■2024年4月13日〜5月26日■京都国立博物館 京博はこの展覧会のチラシの中で「雪舟展ではありません」と、ある意味、少しイケズな言葉を記していました。たしかに雪舟自身による作品の比率は全体の半分にも及び…

木村伊兵衛回顧展|東京都写真美術館

没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる ■2024年3月16日〜5月12日■東京都写真美術館 巨匠木村伊兵衛(1901-1974)のレトロスペクティヴが恵比寿で開催されています。写美のB1展示室をまるまる使って160点余りの作品を紹介する充実した内容の企画展です。 東京都写真…

福田平八郎が描いた五郎丸屋の「薄氷」

大阪中之島美術館で開催されている「没後50年 福田平八郎」展。実質的な後期展示が4月9日からスタートしています(終期は5月6日)。 ガラリと展示内容が変わるわけではありませんが、前期の目玉であった「鯉」(1921 皇居三の丸尚蔵館蔵)や「青柿」(1938 京都市…

季節のはざまで|ダニエル・シュミット

ダニエル・シュミット(Daniel Schmid 1941-2006)監督による「季節のはざまで」(Hors saison 1992)のデジタルリマスター版が先月から各地のミニシアターで上映されています。同時期に公開されている「デ ジャ ヴュ」に引き続き鑑賞してみました。 長い年月を…

クラウディア・アンドゥハルとヤノマミ|KYOTOGRAPHIE

クラウディア・アンドゥハルダビ・コペナワとヤノマミのアーティスト ■2024年4月13日〜5月12日(KYOTOGRAPHIE 2024)■京都文化博物館別館 今年もKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭が開幕しました。 フラッグシップ会場ともいえる文博別館にまずお邪魔してみましたが…

ダニエル・シュミット「デジャヴュ」のキャスト陣

マーメイドフィルムとコピアポア・フィルムの配給によりダニエル・シュミット(Daniel Schmid 1941-2006)監督の過去作2本が各地のミニシアターで再上映されています。 まず「デ ジャ ヴュ」(Jenatsch 1987)を鑑賞してみました。 schmidfilms.jp 4Kや2Kの表記…

京都市交響楽団第688回定期(2024.4.13 京都コンサートホール)

京都市交響楽団 第688回定期演奏会 ■2024年4月13日 14時30分開演■京都コンサートホール セルゲイ・プロコフィエフ: ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 作品63 リヒャルト・シュトラウス: アルプス交響曲 作品64 辻彩奈(Vn) 指揮 : ペドロ・アルフテル ウィンド…

池上秀畝回顧展|練馬区立美術館

生誕150年 池上秀畝ー高精細画人ー ■2024年3月16日〜4月21日■練馬区立美術館 わずか1ヶ月余りの会期しかないことが惜しいくらい非常に面白く充実した企画展です。 池上秀畝(1874-1944)の画業をたどる大回顧展。その後期展示(4月1日〜)にお邪魔してみましたが…