増田清 顕道会館|京都モダン建築祭 2023より

昨年2022年、初めて開催された「京都モダン建築祭」。 好評を受け今年も開催されることになったようです。 施設によっては大行列が発生し、一部でかなりの混乱をみせた前回の課題をふまえ、キャパオーバーが懸念された作品には事前申込制を採用するなど、改…

狩野探幽が写した徽宗の鳩|泉屋博古館の表装展

特別展 表装の愉しみ -ある表具師のものがたり ■2023年11月3日〜12月10日■泉屋博古館 来年から2025年の春まで改修工事に入る鹿ケ谷の泉屋博古館。 一時休館となる前、最後の企画展が開催されています。 「表装」にスコープがあてられていますから、ちょっと…

長沢芦雪の幽霊|大阪中之島美術館

特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー ■2023年10月7日〜12月3日■大阪中之島美術館 会期は2ヶ月近くあるものの、11月7日を境に展示品の9割近くが入れ替わるという特別展です。 実質、1ヶ月+1ヶ月の長沢芦雪大レトロスペクティブ、パート1&…

東京国立博物館「やまと絵」展の妖しさ怪しさ

特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」 ■2023年10月11日〜12月3日■東京国立博物館 日本絵画史に残る超有名作品の出現比率でみると、昨年の東博創立150年を記念した「国宝全部見せます」展よりも、ひょっとすると高いかもしれません。 例によって会期中…

高山寺 金堂 特別公開

栂尾 高山寺の金堂内部が特別公開されたのでお邪魔してみました。 (京都古文化保存協会主催 2023年11月11日〜20日) 外観はいつでも鑑賞できますが内部の公開は初めてなのだそうです。 靴を脱いで袋に入れ、御堂の中に入るスタイルです。 事前予約等は必要あ…

吉山明兆を「写」した狩野派絵師たち|東福寺展より

特別展「東福寺」(後期展示) ■2023年11月7日〜12月3日■京都国立博物館 10月7日からスタートしている京博の「東福寺」展。 非常に素晴らしい内容なので後期展示も鑑賞してみました。 かなりの作品が前期から入れ替わっています。 なお、東福寺自体の紅葉は11…

根津美術館の北宋書画展と「五馬図巻ミステリー」

特別展 北宋書画精華 ■2023年11月3日~12月3日■根津美術館 展覧会のタイトルまで漢文調を採用した根津美術館渾身の企画展です。 本展のために各地から集められた作品数自体は40点程度とそれほど多くはありません。 しかし、それぞれの書画が恐ろしく濃密なも…

蔵王権現大集合と道長の経筒|MIHO MUSEUMの金峯山展

2023年度秋季特別展 金峯山の遺宝と神仏 ■2023年9月16日〜12月10日■MIHO MUSEUM 質・量ともに驚異的な大修験道特集展です。 期間によって展示品の入れ替えがあるものの、約180件にのぼる金峯山にまつわる品々が全国から集められています。 しかも国公立ミュ…

MUCA展にみるストリートアートの「無化」|京都市美

MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜 ■2023年10月20日〜2024年1月8日■京都市京セラ美術館 現在、京都市美で同時開催されている「井田幸昌展」と共に、おしゃれ系デートの出し物としてとっても好適な企画展ではないでしょうか。 もちろん…

「大仏」としてのコンスタンティヌス帝像|永遠の都ローマ展

永遠の都ローマ展 ■2023年9月16日~12月10日■東京都美術館 いかにも都美らしいブロックバスター系の企画なので、鑑賞するか否かちょっと迷っていたのですが、日時指定不要の平日にぶらりと覗いてみたところ、予想よりも混雑していない雰囲気(土日・祝日は事…

八坂神社本殿「裏側」公開と円山応挙の「鶏」

京都古文化保存協会による、恒例の秋季文化財特別公開がスタートしています。 今回は祇園、八坂神社が対象となっていたので見学してみました。 意外なことに初公開となるのだそうです(2023年11月2日〜11月12日)。 www.kobunka.com つい最近、2020年に国宝指…

土田麦僊の変遷|京都国立近代美術館「京都画壇の青春」

開館60周年記念京都画壇の青春 ー 栖鳳、松園につづく新世代たち ■2023年10月13日〜12月10日■京都国立近代美術館 京近美、開館60周年記念特別展シリーズの第4弾です。 今年の2月、開館記念の初回企画にこの美術館がとりあげた画家は甲斐荘楠音(1894-1978)で…

「キュビスム展」のドローネー夫妻|国立西洋美術館

パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 ー 美の革命ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ ■2023年10月3日〜2024年1月28日■国立西洋美術館 夏のマチス展(都美)に続く、ポンピドゥーセンターのコレクションを中心とした特別展です。 建物老朽化によ…

万寿寺と三聖寺の残影|京都国立博物館「東福寺展」

特別展「東福寺」 ■2023年10月7日〜12月3日■京都国立博物館 東京国立博物館での展示を終えてから、やや長めのインターバルを置き、まるで「紅葉の通天橋」とタイミングを合わせるかのように、「東福寺」展が京博に巡回してきました。 本当に紅葉客で混雑する…

和鏡の密かな愉しみ|東京国立博物館の「羽黒鏡」特集

羽黒鏡 ー 霊山に奉納された和鏡の美 ■2023年9月26日~11月19日■東京国立博物館(平成館企画展示室) 東博の、平成館から本館に向かうプロムナード的な一室(考古展示コーナーの向い)で、現在、こっそりと、とても素敵な特集展示が行われています。 「羽黒鏡」…

正倉院ペーパーナイフ 2023|第75回正倉院展

第75回 正倉院展 ■2023年10月28日〜11月13日■奈良国立博物館 昨年よりも全体的に華やかな作品が出陳されている印象を受けました。 メインビジュアルに選ばれているのは、呆れるほど豪華に装飾された「平螺鈿背円鏡」(へいらでんはいの えんきょう)です。 企…

サヴァール&エスペリオンXXI|2023.10.29 バロックザール

<Basso Continuo>4 ジョルディ・サヴァール&エスペリオンXXI ルネサンス&バロックのダンスと変奏~旧大陸、そして新大陸から~ ■2023年10月29日■青山音楽記念館 バロックザール ジョルディ・サヴァール(ヴィオラ・ダ・ガンバ&ディレクション)シャビエ…

国芳・芳年が主役ではない幕末明治絵師展|サントリー美術館

激動の時代 幕末明治の絵師たち ■2023年10月11日~12月3日■サントリー美術館 幕末明治の絵師特集ときくと、近年は歌川国芳の化物絵や月岡芳年の無惨絵が大流行りですから、この企画も、また、その方面の浮世絵等が中心の内容かと予想していました。 実際、本…

百瀬文が問う「聴覚」|滋賀県美 "みかた"の多い美術館展

“みかた”の多い美術館展 さわる知る 読む聞くあそぶ はなしあう 「うーん」と悩む 自分でつくる! ■2023年10月7日〜11月19日■滋賀県立美術館 滋賀県美が、館蔵品を中心としつつ、単なるコレクション展ではない、企画の面白さで魅せようという特別展です。 昨…

山口晃の「飛蚊症空間」|アーティゾン美術館

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン ■2023年9月9日〜11月19日■アーティゾン美術館 現代日本のアーティストとアーティゾン美術館のコレクションが共演する「ジャム・セッション」シリーズ。 第4回は山口…

初代諏訪蘇山展|京都工芸繊維大学 美術工芸資料館

初代諏訪蘇山展-よみがえる革新技法- ■2023年9月25日〜10月28日■京都工芸繊維大学 美術工芸資料館 規模は大きくないものの、帝室技芸員 初代諏訪蘇山(1851-1922)の多彩な芸術と、その技巧の正体に迫る意欲的な企画展です。 www.museum.kit.ac.jp 昨年、202…

ホックニーの「龍安寺」と「ノルマンディー絵巻」

デイヴィド・ホックニー展 ■2023年7月15日〜11月5日■東京都現代美術館 日本では27年ぶりとなるホックニー展なのだそうです。(前回は1996年、この美術館で開催された「ホックニーの版画展」) どの地下鉄の駅からもそれなりに離れている美術館なので、猛暑残暑…

東寺勅給から1200年|特別拝観「東寺のすべて」

真言宗立教開宗1200年記念特別拝観「東寺のすべて」 ■2023年10月9日〜10月31日■真言宗総本山 教王護国寺(東寺) 文字通り、東寺のフルコースが味わえる特別拝観企画です。 拝観料(一般)が2000円とやや高めに感じますが、普段非公開となっている部分や、宝物…

安齊重男が写した芸術家たち|アーティゾン美術館

創造の現場―映画と写真による芸術家の記録 ■2023年9月9日〜11月19日■アーティゾン美術館 この企画展、メインは往年の大作家たちの姿を撮影した「美術映画シリーズ」の紹介です。 梅原龍三郎、前田青邨、鏑木清方といった大画家の表情、制作風景などが克明に…

洗練された映像美で魅せる「アアルト(AALTO)」

ドマの配給で、フィンランドの建築家アルヴァ・アアルト( Alvar Aalto 1898-1976 )に関するドキュメンタリー映画、「アアルト」(AALTO 2020)が各地のミニシアターを中心に公開されています。 この映画のチラシは、たしか今年の春くらいから映画館においてあ…

栖鳳の「雀」と「柳」|京都市京セラ美術館の竹内栖鳳展

京都市美術館開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー ■2023年10月7日〜12月3日■京都市京セラ美術館 1933(昭和8)年に開館した京都市美術館が、その90周年を祝う企画として、近代京都画壇最大の巨匠、竹内栖鳳(1864-1942)を特集しています。 kyotoc…

宮本佳明「建築団地」展|宝塚市立文化芸術センター

Made in Takarazuka vol.4 入るかな?はみ出ちゃった。~ 宮本佳明 建築団地 ■2023年9月16日〜10月22日■宝塚市立文化芸術センター 昨年のちょうど今頃開催された「生誕100年 元永定正のドキュメンテーション」展などなど、宝塚市立文化芸術センターは、その…

日本の奇妙なガウディ熱|サグラダファミリア展

ガウディとサグラダ・ファミリア展 ■2023年9月30日〜12月3日■佐川美術館 先日まで東京国立近代美術館で開催されていたガウディ展。 現在、第二の巡回地である滋賀・守山市の佐川美術館で開催されています(この後、12月19日より最終巡回地である名古屋市美術…

円満院祐常&円山応挙「七難七福図巻」|相国寺承天閣美術館

若冲と応挙 I期 ■2023年9月10日〜11月12日■相国寺承天閣美術館 相国寺には、なぜ、まだ国宝に指定されないのか不思議な文化財が2件あります。 一つは伊藤若冲による「釈迦三尊像」。 これは単純な話で、本像とセットである「動植綵絵」(皇居三の丸尚蔵館蔵)…

井田幸昌展にみる既知と未知の境界|京都市京セラ美術館

井田幸昌 展「Panta Rhei|パンタ・レイ − 世界が存在する限り」 ■2023年9月30日〜12月3日■京都市京セラ美術館 井田幸昌(1990-)にとって初めてとなる美術館での個展なのだそうです。 彼の故郷である鳥取、米子市美術館での開催を終え、京都に巡回してきまし…